もくじ
エジプトで初めての出産
2017年に第一子の娘をエジプトのダハブの公立病院で出産しました。
もちろんこれが人生初めての出産です!
エジプトでも(費用は掛かるけど)日本並みに綺麗な病院がありますが、
当時ダハブでは分娩は公立病院でしか出来ませんでした。
いずれにしてもエジプトで出産することに不安いっぱい…
海外(特に先進国以外)での出産・エジプトでの出産について知りたい方へ、
ダハブという小さな町の小さな公立病院での出産ですが私の体験がご参考になれば嬉しいです。
病院選び
私の場合どこで産むかの選択肢として、以下の3つがありました。
日本
日本で出産するのは安心ですが出産のために帰国してまた戻ってくるのに数ヶ月必要です。
子供の誕生を夫婦で共有したい気持ちがあったので、
どちらかというと初めからエジプトで出産しようという気持ちがありました。
また私は住民票を抜いて海外転出届を出しており、
国民健康保険に加入していないので、この状態で出産育児一時金を受け取ることは出来ません。
出産育児一時金を受けたい場合は国民健康保険に加入している必要があります。
いつまでに加入すれば支給対象になるか等は各自治体に早めに問い合わせたほうが安心です。
また日本とエジプトで予防接種の種類や接種方法・期間が異なり、
日本で産みエジプトに戻ってくる場合は予防接種のプランを予め考える必要があるかと思います。
シャルムエルシェイク
シャルムエルシェイクはダハブの隣街の高級リゾート地です。
規模の大きい公立・私立病院がありますがダハブから車で約1時間かかります。
初産は陣痛から生まれるまで時間がかかるといえど、
個人的に病院まで1時間は長く不安要素でした。
またシャルムにあらかじめ滞在するとして、
もし予定日を過ぎても全然生まれる気配がなかったらと思うと
仕事のある夫とシャルムに滞在することも難しかったです。
そして前述の通り高級リゾート地ですので、分娩費用も高めです。
ただし衛生面・技術面ではダハブより上です!
そのため外国人妊婦やエジプト人でも帝王切開が必要な人などは
距離があってもダハブから以下のようなシャルムの病院へ行く人がいます。
ダハブ
当時分娩可能な施設は公立病院のみでした。自宅から病院まで車で約5分の距離です。
ただしシャルムの病院に比べて規模が小さく設備・衛生面に難あり。
不安視する私の背中を押したのは、
知人の奥さん(外国人)が過去にこの公立病院で出産したと聞いた事で
外国人妊婦の出産事例があると知ったからです。
ありがたいことに私は妊娠経過に問題もなく普通分娩予定なこともあり、
単純ですが大丈夫かも!と思えました。
ということでダハブの公立病院で予定日辺りに産婦人科医が勤務している事を確認し、
(ダハブに赴任期間があるらしい)
予約とかそんなものは一切せずここで産む事となりました。
エジプトってめっっっっちゃ子供がいるんです。
分娩の経験数は沢山あるだろうと前向きに考えました。
ダハブの公立病院のレベル
公立病院はメディナにあります!
バスターミナルに近いので長期旅行者の方もご存知かもしれません。
ただ、もし旅行中に何か病気や怪我をした際は恐らくこの公立病院ではなく、
ダハブの私立クリニックまたはシャルムの病院を勧められるかと思います。
その理由は本当に最低限の設備しかありませんし、医療レベルも低い。
例えば私は過去に高熱とひどい悪寒でダハブの公立病院を受診したのですが、
膀胱炎の自覚症状があったのでそれを伝えたにも関わらず
特に検査もなく風邪と診断されお尻に注射を打たれて終わり…。
もちろん症状は一向に良くならず、
Ahmed Sadekクリニック(現Dahab Medical Care Hospital)で尿検査をして
膀胱炎から悪化し腎盂腎炎と診断され、適切な薬で治療し回復しました。
腎盂腎炎は死の危険もある病気で、
この時は正直「もう二度と行くもんか!!」と思いました。
(妊娠前の出来事です)
またある種エジプトあるあるかもしれませんが、こんな病院なんです…。
- トイレの電気が点かない
- トイレのドアが閉まらなくて鍵がかけられない
- トイレの水が流れない
- 手洗い場でも水が出ない
- 室内にハエ・蚊が入り放題 (※病院です)
- 天井や壁がのペンキが盛大に剥がれてる
- シンプルに汚い
たま〜に外国人を見かける事がありましたが基本一般エジプト人が利用する病院です。
医者は別としてほとんどのスタッフが英語通じませんので
もし行く機会がある場合はエジプト人と一緒に行ったほうがいいです。
2021年 現在、ダハブではDahab Medical Care Hospitalにも分娩設備があるようです!
ただし産婦人科医が勤務しているか随時ご確認ください。
まさかブログを書く事になるとは思っていなかったので
病室の写真しかありませんが、この殺風景さからお察しいただけますでしょうか…
壁とか汚いし、病室にあるトイレも汚いです。
妊婦健診について
少なくともダハブでは日本のような妊婦検診はなく、
「来たきゃ来て」という感じでした。次回いつ来てね、とかも無し。
エコー検査が体に悪いと思ってる人もいるみたいです。
私は月1回くらいでエコー検査しに行ってました。主な目的は性別が知りたかったので(笑)
妊娠初期には葉酸サプリやビタミンサプリが処方されました。
妊娠検査薬は種類にもよりますが1つ20ポンドくらいで薬局で買えます。
当時は私立病院のエコーも公立と同じく2Dのみでした。
またレシート並みに薄い紙に印刷されるので見づらいし、保存しずらいものでした。
出産当日
破水からの始まり
夜、陣痛ではなく、破水から始まりました。
何が必要かよく分からないが、一応用意した手荷物一式を持って病院へ。
ある一室に連れられ寝かされるも、めちゃくちゃ蚊が飛んでいる…!
また点滴の為のカテーテル装着を消毒なしで行われビックリ。
素人の夫まで何故か手伝って色々触ってくれちゃって…
ドクターの内診で中をグリグリかき回され(痛い!)
羊水がバシャーと出てきましたが、まだ陣痛なし。
用意された着替えはなく自前の服(ワンピース)のままです。
ナースに連れられ2階の病室へと移動しましたが、ここにも大量の蚊。
再度ドクターの内診で激痛。もう服は羊水と血でびちゃびちゃです。
少ししたらゴリゴリッと音がしてやっと陣痛がきました。
この時すでに陣痛は数分間隔で分娩室へ。
娘 誕生
分娩室は奥まった所にあり、蚊やハエがブンブン飛んでいなかったのが救い。
(ただし全く遮断されていると言うわけではないので、実はちょっといたのかも)
スリッパもないので分娩室前でサンダルを脱いで裸足になる。
痛みでうめき叫ぶ私に「無駄な体力を使わないで」と言われながら
「Push!」(いきんで!)と言われるたび力一杯いきむ。
何度かいきんで、知らない間に会陰切開もされ(痛みを感じてない)
股に何か挟まる感覚がしてその後につるん!と出ました。
その瞬間全ての痛みが消え、我が子の誕生に感動…とか一切なく
「良かった〜終わった〜」と言うのが私の最初の感想でした。
痛すぎて一刻も早く終わりたかったです。
赤子はと言うと、
私そっちのけでドクター&ナースが赤子との写真撮影会を始めてました(笑)
え、ちょっと…!!と思いましたが、
いや、何でもないです。無事に終わって感謝。
とりあえず女の子と言うことを知り、
お股をチクチク縫われ、娘との対面もなく(笑) 分娩室から出されました。
その日に退院
病院に着いてから出産まで1時間半くらいでした。
夫が家に戻って着替えを取りに行ってくれていたようで、病室にてまず着替えました。
黒のロング丈のワンピースだったのでまだ良かったものの、まさか自前の服のままとは。
しばらくして義兄が娘を抱いて連れてきて、イスラム教の誕生の儀式をしていました。
最初に行われる儀式は、新生児の耳に向って、アザーンとイカーマを唱えることである。赤ん坊が体をすっかり洗われてきれいになると、右の耳からアザーン、左の耳からはイカーマを唱えて聞かせる。両方とも赤ん坊の耳に向い、そっと囁きかけるように唱えられる。この儀式は、誰が執り行っても差し支えないが、通例、家族の中の年長者か、誰か他の敬虔な信者がこの儀式をするように頼まれる。
日本アハマディア・ムスリム協会 誕生の儀式
写真もほぼ撮らず、自分のことで精一杯だった…
蚊がすごいので家に帰りたかったのですが、一応朝まで居てくれと言う事でその後帰宅。
会陰切開の抜糸はなく、そのまま自然に取れるものでした。
また私も出産の為に用意しなさ過ぎだったかもしれませんが、
その日のうちに帰るので最低限以下があれば大丈夫でしょう。
出産直後に厚めのコットンを何回かもらいましたが
そのうちナースがいなくなるのでナプキンはあった方がいいです。
- 赤ちゃん用の服
- 新生児サイズのオムツ数枚
- 大きめタオル
- 大きめナプキン
- 下着も含めた着替え
- 飲料水
- 汚れてもいいサンダルで行くかスリッパなど持参
費用
エジプトでは公立・中央病院の医療費は基本無料と言われていますが
ダハブの公立病院では2ポンドだったり5ポンドだったり…
かなり少額ですが地元住民も診察を受けるために払っています。
ただし、外国人の場合は高い金額を請求される事もあるようです。
エコー検査に訪れた際も度々違う値段を言われるので夫はよく揉めていました。
私たちは謝礼(チップ?)としてドクターに600ポンドを、
ナース達には200ポンドと夜食やジュースの差し入れを渡しました。
大体ですが全部で1万円弱かと思います。
基本的には公立病院でエジプト人が出産する場合も謝礼金は渡すとの事。
感想
基本的な衛生概念が欠如している場面や何度かツッコミ所がありましたが、
会陰切開の傷も綺麗に治り、終わってみれば生まれるまで早かったし安産でした。
妊娠経過に不安がなく、
ダハブのような小さな町で近くに他の病院がない場合、
このような公立病院で出産も一つの選択肢として検討する価値はあるかと思います。
何よりすぐ行ける安心感がありますね。
ただ、もし今のようにダハブの私立病院で分娩可能だったら、
私立病院を選んでいると思います!笑
第二子の息子篇はこちら
航空券が高いので夫を出産に合わせて呼び寄せる選択はなかった(笑)